EdwardsPersonal PreferenceScheduleの日本人への適用I : 社会的望ましさの要因
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概要
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本論においてアメリカのEdwards Personal Preferene Schedule(EPPS)の日本訳およびその日本人への適用において主として「社会的望ましさ」の要因を中心として考察した。その結果次のことがわかった。(1)EPPSを構成する135の陳述をひとつずつ呈示し,それぞれに対する自己評価における承認率と「社会内望ましさ」の得点を異なる集団について求めたところ,男女間の相関はきわめて高く(O.95〜0.96),アメリカでの同様な研究結果(0.91)とほぼ一致した。しかし正常男子と非行男子との相関はやや低かった。さらに日本人の「社会内望ましさ」とアメりカ人の「社会的望ましさ」の相関は高くなく(O.48〜O.50),これは両国の文化の差によるものと考えられた。しかし欲求のプロフィルは両民族間でかなりよく似ていた。(2)自己評価における陳述の承認率についても男女間の相関は高い(O.84〜0・93)が,欲求ごとにみると多少性差がみられた。正常男子と非行男子の差は男女差よりやや大きいように思われた。(3)自己評価における各欲求に属する9つの陳述相互の相関はあまり高くなかった。(4)陳述の社会的望ましさと承認率との相関は男女とも平均してO.80程度で,対応するアメリカ(男,女)のO.87に近い。ここでも日本の資料では上述の正常人の相関(O.8)より非行少年の相関(0.7)の方がやや低いようである。(5)次に陳述をEPPSの形式である強制選択法にするとEdwardsの原版そのままの対を用いた日本版Iで「社会的望ましさ」の級内(対内)相関は0.20で,アメリカの0.85よりかなり低い。これは「社会的望ましさ」の両民族のくい違いによる。「社会的望ましさ」をできるだけ対内で等しいように組みかえたBerrien版(日本版II)では級内相関は0.7〜0.8でかなり高くなった。なお他の方法によっても日本版IよりBerrien版の方が「社会内望ましさ」が統制されアメリカの原版の場合に近いことがわかった。(6)強制選択の形式で自己評価と「社会的望ましさ」を測定した結果,被験者は両教示のもとで明らかに異なった反応をしていることがわかった。さらにこの場合における「社会的望ましさは」,陳述ごとの単一刺激法によるときの「社会的望ましさ」とかなりの相関があることがわかった。(7)以上は独立集団の比較(相関)であった。EPPSを集団の比較でなく,個人の特性の診断に使用するのであれば,同じ集団内での相関が必要である。EPPS構成上の資料は上述のような独立集団間の相関によるものが多いが,これは同集団にもとづく相関でもほぼ同じ結果が得られるという前提条件によるものである。しかし本研究の結果から両者が必ずしも対応しないことが明らかになった。
- 1965-03-31
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