学習機構の解析に関する方法論的研究:III : 学習準備性(点)の解析(その3)
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概要
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ここでは,基礎的な能力の体系(S_1,S_2…,S_n)をもつ被教育者が,ある教育作用のもとで新しい学習目標(α_1,α_2,…,α_m)に対して,どこまで到達できるか,到達できる領域はどこか,という点を問題にし,到達できる領域(α_1,α_2,…,α_k)を学習準備域(Rs(a))と呼ぶことにした。この学習準備域(Rs(a))は,たとえば,基礎的な能力の状態を(S_1=1,S_2=1,…,S_j=1,S_<j+1>=0,…,S_n=0)とした場合,これを学習準備点(R(α_j))としてもつ学習目標(α_j)に対して,(R(α_j))で覆われるすべての学習準備点(R(α_i))によって規定される学習目標(α_i)を含んでいると考えられる。また,基礎的な能力として,(S_1,S_2,…S_n)をもっている被教育者の中で,新しい学習目標を,(α_1,α_2,…,α_m)という状態で理解している人の比率を,φ_<(s_1,s_2,…,s_n)>(α_1,α_2,…,α_m)で表すと,学習準備域R_<s(a)>=(α_1=1,α_2,=1,…,α_k=1,α_<k+1>=0 …,α_m=0)に対して,理論的にはφ_<(s_1,s_2,…,s_n)>(α_1=1,α_2=1,…,α_<k+1>=0,…,α_m=0)=1となり,他のどのような(α_1,α_2,…,α_m)の組合せについてもφ_<(s_1,s_2,…,s_n)>(α_1,α_2,…,α_m)=0となる。したがって,このような観点から,(R_s(a)) は(7)式によって抽出することもできる。さらに,学習準備域とそうでない領域との間にある境界要素については,(9),(10),(11)式のような特性を見出すことができる。以上のようにして,学習準備域の構造の概要は,ほぼ明らかになるが,ここにあげた方法では,基礎的な能力(S_1,S_2,…,S_n)や,学習目標(α_1,α_2,α_m)の選定が基本的な問題になる。ここでは,選定の規準の標識として,(14'),(15')式をあげ,これを満たすものは,ほぼ妥当な内容を示すと考えた。
- 日本教育心理学会の論文
- 1962-06-30
著者
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