生き方としてのカストム : 現代パプアニューギニアカストム観(<特集>カストム論再考 : 文化の政治学を越えて)
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概要
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パプアニューギニアの北西部に位置するセピック川流域は、世界でも有数の民族芸術の宝庫として知られている。特にハウスタンバランと称される精霊小屋や儀礼に用いられてきた彫刻、仮面は、その個性的なデザインから「セピックアート」を代表するものとして広く内外に紹介されてきた。ハウスタンバランや儀礼は、二十世紀初頭からこの地域で活動をはじめたキリスト教布教の影響で一部地域では姿を消していた時があったが、1980年代に入ると「カストム」として復活していった。本論では、こうしたセピック地域で見られた「カストム」の形成を国策やキリスト教受容との関連で論じていきながら、非エリートの視点にたつカストム概念の特徴を明らかにしていきたい。非エリートの人々が抱くカストムは、民族主義的傾向を持ったものでもなくまた国家統合に絡め取られるローカルなカストムでもない。明確な輪郭をもってあらわれるカストムではなく、類似性に基づく多配列思考を根底に持つあいまいでいいかげんなカストムである。本論の立場は、国家エリートに着目してきた従来の「カストム論」に対して、セピックの人々の思考のあり方に着目しそこから出発した「彼らのカストム観」を検討することによって、自文化中心主義を乗り越えていこうとするものである。
- 2001-09-30
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