越境する家族 : 在日ベトナム人のネットワークと生活戦略
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概要
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1970年代後半以降「インドシナ難民」として日本に定住してきたベトナム人は約8000人いると推定される。本論文は, このような在Hベトナム人の定住過程と生活世界について分析記述したものである。彼らの多くは, 日本定住後に安価な労働力として大都市周辺の産業工業地区に集住する傾向があるが, 彼らの定住生活には, ベトナムの文化や歴史的背景, 来日後の定住過程と日本社会, および祖国ベトナムとの関係を含む国際情勢が深く関わっている。その中にあって, 家族を中心にしたネットワークが日本国内だけではなく, 祖国や他の難民受け入れ国に居住する家族とも繋がっている。本論文では, かかる生活世界を, 彼らの生活戦略としての難民脱出, 帰化, 祖国との関係性の諸側面から分析し, かつ, 在日ベトナム人の家族の事例をもとに, 難民家族のもつ「ディアスポラ性」を明らかにし, 在日ベトナム人の越境する行動や心理を捉える一視角を提出したい。
- 1999-03-30