Brassica campestrisにおける酸性フォスファターゼおよびエステラーゼ・アイソザイム遺伝子座の同定
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概要
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Brassica capestrisの育種上有効な標識となるアイソザイム遺伝子座を同定することを目的とし,自殖系統及びその交配によって得られたF_1およびF_2集団を用い,第2本葉展開時の植物体の子葉及び本葉からの摘出液を各々ポリアクリルアミトゲル薄層電気泳動(PAGE)に供試した.酸性フォスファターゼ(ACP)とエステラーゼ(EST)について活性染色を行なった結果,ACPでは子葉,本葉の泳動像共に6つのゾーンが認められた.これらのゾーンに陽極側から番号をつけてACP-1,ACP-2などと表示したとき,最も陽極寄りのACP-1と最も陰極寄りのACP-6で多型性が認められた(Fig.1).また,陽極寄りのACP-2でも本葉の泳動像のみで多型性が認められた.ESTでは,子葉,本葉の泳動像共に多くのバンドが認められ,8から9のゾーンが認められた.ACPと同様に各ゾーンに番号をつけると,陽極寄りのEST-2とEST-3(本葉の泳動像のみ)で多型性が認められた(Fig.2,3).多型性の認められた各ゾーンのバンドのF2後代での分離比を調査した結果,これら5つのゾーンのアイソザイムは,各々1遺伝子座に支配されていることが明らかになった.これらの遺伝子座をAcp-3,Acp-4,Acp-5,Est-3およびEst-4と命名した(Table2).遺伝子座の命名においては,MATSUURAおよびFUJ1TA(1989)により,ACPおよびESTについてそれぞれ2個の座位が等電点泳動法によって同定・命名されているため,ここではPAGEで検出したACPおよびESTのアイソザイム遺伝子座位については,それぞれ第3番目から命名した.同定された5遺伝子座から理論的には10対の独立性の検定が可能であるが,F_2集団におけるバンドの分離結果より5組のアイソザイム遺伝子座について,独立性の検定ができた.その結果,調査した組合わせについては,いずれも独立であった(Table3).
- 日本育種学会の論文
- 1991-03-01
著者
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