フィリピン産および日本産イネ白葉枯病菌レースに対するイネ品種Satengの抵抗性の遺伝
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概要
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イネ白葉枯病菌レースの国際判別品種を設定するため,抵抗性遺伝子を一つずつもつ準同質遺伝子系統の育成が日本農林水産省とIRRI(国際稲研究所)との共同研究として行われた.その準同質遺伝子系統を育成する前提として,日本とIRRIの判別品種をフィリピン産および日本産白葉枯病菌レースを用いて分析する必要があった.そのため,抵抗性品種Satengの遺伝を,フィリピン産及び日本産白葉枯病菌レースを用いて分析した.イネ品種SatengはIRRIの研究者によって劣性の抵抗性遺伝子xa-9を有することが報告されている.日本,IRRI判別品種にはxa-9を持つ品種は含まれていない.現在同定されている抵抗性遺伝子を,準同質遺伝子系統に組み込むためには,xa-9を持つ系統も育成する必要があった.一方,日本産およびフィリピン産白葉枯病菌レースを用いて,この品種に予備的に接種検定をしたところ,その反応はXa-3を持つ中国45号,ジャワNo.14,Zenith及びCempo Selakとよく似ていた.すなわち,Satengはフィリピン産の4つのレースおよび日本産のIからIIIのレースに抵抗性を示すと共に,病斑の周囲が褐変化した.このことから,Satengの持つ抵抗性遺伝子が優性か劣性かを再検討すると共に中国45号およびジャワNo.14との抵抗性遺伝子の対立性検定を行うこととした. まず,日本産白葉枯病菌レースIII Aを供試して,Satengを分析した結果,単一の優性遺伝子によってその抵抗性が支酉己されていることを確認した.また,中国45号,Zen1thとSatengとのF_2では感受性個体が出現せず,これらの品種は日本産白葉枯病菌レースIIIAに対して同一の抵抗性遺伝子を持つと結論された.フィリピン産白葉枯病菌レース1から4を供試して,Satengの抵抗性を分析した場合もこの品種が優性の抵抗性遺伝子を持つことが明らかになった.ただ,トヨニシキを片親にした場合とIR24を片親にした場合とではF_2の感受性個体の病斑長の頻度分布が異なることから,Satengの量的抵抗性が他のXa-3を持っ中国45号,ジャワNo.14,Zenithなどに比較して弱いものと推定された.
- 日本育種学会の論文
- 1990-09-01
著者
-
山元 剛
北陸農業試験場
-
山元 剛
熱帯農業研究センター
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Khush Gurdev
国際稲研究所
-
小川 紹文
九州農試
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Khush G
国際イネ研究所
-
小川 紹文
熱帯農業研究センター
-
苗 東花
国際稲研究所
-
Khush G
International Rice Res. Inst. Manila Phl
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