ザイモグラムからみた菜類の遺伝的関係
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概要
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これまで菜類で認められてきた各ゲノム間の遺伝的関係がザイモグラムにどのように現れるかを調査するとともに,交雑個体の早期検定法としてアイソザイム法を利用できるかどうかを検討した。実験には菜類の各ゲノム型に属するものから30品種を選び,第4葉の伸長開始時にその茎部を用い,デンプンゲル電気泳動法によって酵素活性を調査した。酵素はエステラーゼおよびパーオキシターゼについて行った。その結果,エステラーゼザイモグラムでは一定の傾向を認めえたかったが,パーオキシダーゼザイモグラムにおいては陽極部の原点から25〜50mm離れた部位に,単一ゲノム型では1本,複合ゲノム型では1〜2本の特異的なバンドが認められ,この特異的たバンドの現れ方にゲノム間の関係が認められた。また,単一ゲノム型品種の間で種間交雑を行った結果,その雑種には2本の特異的なバンドが認められるとともに,雑種のザイモグラムが両親のザイモグラムと一致していることも認められた。以上のことから,アイソザイム法,特にパーオキシターゼ活性を調査することは,菜類の品種間の遺伝的な関係を調べるうえで役立つのみたらず,交雑個体の早期検定も可能な場合があることが示唆された。
- 日本育種学会の論文
- 1983-06-01
著者
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