自殖性作物の量的形質の育種における戻交配と選抜のバランスに関するシミュレーション研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
遠縁品種から1〜2個の主働遺伝子を戻交配によって,既存品種に導入することはすでに確立されている。より一般的にみると,戻交配は,望ましい形質群を,選抜せずに導入することであり,選抜は望ましい遺伝子を集積するか,あるいは不良遺伝子を除く手段である。この両者を総合した育種法が考えられてよい。 例えば,陸稲の圃場抵抗性を導入するには,いもち病について選抜しながら,水稲を戻交配することが考えられる。特定の食味をもつ品種を戻交配しながら,耐病性や強稈性について選抜することも考えられる。 これらを一般的な形に整理してみると,aaBBをAAbbに戻交配し,Bを導入すると共に,Aについて選抜を反復し,AABB型を得ることである。 このような遺伝子対が多く,またA-bに連鎖があると,実際にすべての遺伝子についてAABBを得るのは容易でないと予想される。ここでは,主として戻交配の回数とそれに応じた選抜の強度に関して,いくつかの異なる育種方式を想定し,それらの予想される効果について,シミュレーションによる評価を試みた。 シミュレーションにおいては,8組の,独立に遺伝する相同染色体のそれぞれに,一方の親では,A_iとb_i(i=1〜8)が,他方の親では,a_iとB_iが,一組ずつ位置するものとした。またこれらのすべてのA_iとb_iあるいはa_iとB_iについて,同じ組換価での相反連鎖があるものとした。遺伝値として,AAおよびBBに2,AaおよびBbに1,aaおよびbbに0を与えて,A_iとa_iは形質Aを支配し,B_iとb_iは形質Bを支配する想定した。これによって一方の親の形質の値は(16,0)となり,他の親は(0,16)となり,育種の目標は(16,16)である。このため形質Aこついては選抜により,形質Bについては戻交配によって向上を計るものと考える。
- 日本育種学会の論文
- 1982-03-01
著者
関連論文
- 一定圃場内の系統選抜における最適反復回数
- 2形質の比で与えられる草型指数による選抜の統計的性質
- 清沢の判別品種および他の品種を使用してのフィリピンのいもち病菌菌株の検定
- フィリピンのいもち病菌系に対する日本の稲品種の圃場抵抗性の特異性
- 夏作物新品種の紹介(I) : 昭和61年農林水産省登録
- 冬作物新品種の紹介 : 昭和60年農林水産省登録
- イネの遠縁交雑のF1稔性に関する品種の親和性の検索
- 自殖性作物の量的形質の育種における戻交配と選抜のバランスに関するシミュレーション研究
- 国際稲研究会議(Internationa1RiceResearchConference略称IRRC)について
- 集団育種法に関するシミュレーション: I.初期世代における組換えの進行
- ソ連の育種界をみて
- 登熟温度による稲種子の休眠の誘起と検定
- 環境による水稲の発芽性の変動とその検定・選抜方法に関する研究 : 第II報 穂発芽難品種の選抜法に関する予備的知見
- 環境による水稲品種の発芽性の変動とその検定・選抜方法 : I.登熟中の温度が発芽におよぼす影響
- (9) 登熟温度と貯蔵条件が稲種子の発芽におよぼす影響 : 日本育種学会第27回講演会講演要旨 : 一般講演
- (8) 稲の穂発芽難品種の選抜方法 : 日本育種学会第27回講演会講演要旨 : 一般講演
- (7) 稲品種の穂発芽性の簡易検定法 : 日本育種学会第27回講演会講演要旨 : 一般講演
- 夏作物新品種の紹介(II) : 昭和60年農林水産省登録
- 夏作物新品種の紹介(I) : 昭和60年農林水産省登録