パイナップルの組織培養による植物体の再分化
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概要
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自家不和合性の栄養繁確作物であるパイナップルの効率的増殖法および変異体作出法の一手段として組織培養技術の適用を試みた。植物体の一部を供試Lてカルスを形成させ,さらに植物体を再分化させる条件を検討するため,若い果実・薪・腋芽・冠芽・えい芽を材料とし,MURASHIGE and SKOOG(1962)の基本培地にホルモン類を組み合せた培地を用いた。その結果,葯を除く全ての部位の培養において,カルスとともにカルスとはやや異なる形状を持った発育旺盛な塊状組織が形成され,この塊状組織から多数の芽・葉さらに幼植物を分化,生育させることができた。この塊状組織の分化能力は数回の継代培養によっても失たわれず,その形状と性質はラゾの組織培養に見られるプロトコームに類似している。各組織の培養により塊状組織を形成させ,さらに植物体分化を誘導する条件は,添加するナフタレン酢酸とベンジルアデニンの濃度の適度た組合せによって得られ,分化した器官や幼植物体をさらに完全な植物体に生育させ発根させる条件は,ベンジルアデニンのみの添加培地を経てホルモンを含まない培地へと順次移すことによって得られた。本培養法によって再分化した幼植物を試験管からポットに移植した結果,約400個の完全個体を養成することができた。これらの中には葉身に白いしまのあるもの,葉縁にトゲの密生したもの,葉序の変化したものなどの変異が観察された。これらの結果は,組織培養技術がパイナップルの育種に貢献する可能性を示している。
- 日本育種学会の論文
- 1978-06-01
著者
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