二次元電気泳動で分離されたタンパク質の配列データファイルに基づくcDNAカタログからのイネ遺伝子の検索
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概要
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イネ(0ryza sativa L.)品種日本晴の幼根からタンパク質を粗抽出し,トリクロロ酢酸沈殿法を用いて濃縮した後,二次元電気泳動法により分離した。分離された292種類のタンパク質のうち,76種類のタンパク質のN末端と内部アミノ酸配列の両方,あるいは,いずれか一方を気相シークエンサーを用いて決定した。そして,1993年に報告したイネの葉,胚芽および胚乳からの50種類のタンパク質の部分アミノ酸配列と合わせて,全部で126種類のタンパク質の配列からなるアミノ酸配列データファイルを作成した。これまでにイネのゲノム研究プロジェクトで約20,000のcDNAクローンの部分塩基配列が決定され,カタログ化されている。そこで,これらのcDNAの中に,タンパク質の配列データファイル中のタンパク質をコードするcDNAを同定できるかどうかアミノ酸配列のホモロジー検索を行って調べた。その結累,データファイル中のタンパク質の約30%をコードするcDNAがcDNAカタログ中に存在することがわかった。DNAの重複度を考慮すると,イネゲノム研究プロジェクトでクローニングされた約20,OOOのcDNAのうち,50%程度がユニークなDNAであると推定される。イネには,20,OOO〜40,000の遺伝子が存在するとみられるので,クローニングされたDNAは全遺伝子の25〜50%と推定される。この研究で配列を決定したタンパク質をコードするDNAがカタログの中に検索された割合は約30%であったが,もし,ある程度ランダムにDNAがクローニングされ,タンパク質が選抜されていれば,現段階では配列の決定されたタンパク質の25〜50%のcDNAをカタログから検索することができると考えられるので,約30%という割合は期待値から大きく外れていない。今後,cDNAカタログがさらに大きくなれば,タンパク質の部分アミノ酸配列を決定することによってより多くのタンパク質をコードするDNAを直接cDNAカタログから検索することができると推察される。
- 日本育種学会の論文
- 1997-09-01
著者
-
佐々木 卓治
農業生物資源研究所
-
長村 吉晃
農業生物資源研究所
-
小松 節子
農業生物資源研究所
-
佐々木 卓治
(独)農業生物資源研究所
-
平野 久
農業生物資源研究所:(現)横浜市立大学
-
平野 久
農業生物資源研究所
-
小松 節子
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
-
鐘 伯雄
農業生物資源研究所
-
苅部 英寿
農業生物資源研究所
-
市村 英昭
STAFF
-
小松 節子
農業生物資源研
-
苅部 英寿
農業生物資源研究所:(現)旭川大学女子短期大学
-
Hirano H
National Institute Of Agrobiological Resources
-
Komatsu Setsuko
National Institute Of Agrobiological Resources
-
長村 吉晃
農業生物資源研
-
鐘 伯雄
農業生物資源研究所:(現)湖江農業大学
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