岐阜県の益田風と上層風について
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概要
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岐阜県益田郡萩原町の益田風は, 直線状の谷内部に吹く北寄りの局地風である. 1990年の1年間におけるデータ (現地観測, 輪島の850 hPa の上層風, 岐阜県下のアメダス) から, 益田風の統計的な性質を調べ次の結果を得た. (1)益田風は, 北寄りまたは西寄りの上層風向下で発生し, 4つの気圧配置型下で発生する. (2)益田風発生時, 岐阜県下と谷内部は, 全体的に北寄りの地上風系となる. (3)益田風発生時の気圧傾度は, 上層風向が北寄りのとき西寄りに比べ大きい. (4)益田風発生時, 直線状の谷の北部は弱風域, 直線状の中間付近は最強風域となる. (5)益田風の月別の出現頻度は, 気圧配置型の頻度にともなう. 以上の結果は, 益田風と, 気圧配置型および上層風との関係の理解を深め, 益田風の多様な発生条件の理解の糸口となる. 現地観測は, 谷内部の風系分布を統計的に示す. 解析結果は, この地方特有の風の予測や風系分布など, 局地的な大気環境問題の情報となる.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-09-30
著者
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