補充原料用タバコにおける多収性品種の育成に関する研究 : I.草型および生育経過と収量との関係
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概要
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収量の多い補充原料用タバコの育成は,専売公社の補充原料品種育成グループによりすすめられてきたが,その中で草型の異る数種の多収系統を固定することができた。それらの系統における草型および生育経過と収量との関係を調査するとともに,2,3の収量構成形質と収量との関係について,草型の異る系統群問で比較を行った。育成した多収系統は草型により次の4群に分類できた。すなわち,下位葉が大きく,ピラミッド様のうらこけした草型を示すPT1群,中位葉の伸長が大きいPT2群,上位葉の展開がよく,シリンダー様の草型を示すPT3群,および全葉位で標準品種を上まわり,草丈が高く,大型のシリンダー様の草型を示すPT4群である。PT1郡および2群は初期生育が旺盛で,前老はその後生育がにぶるが,後者は生育中期までそれを維持した。PT3郡および4群は初期生育が遅いが,中期に相対生長率のピークがあった。各系統群の収最は10アール当り,PT1群は367・4kg,PT3群は364・1kg,PT4群は390.1k9であり,標準品種の属するPT2群の312.8kgに対して16.4〜24,7%上まわった。収量と葉面積および単位面積重との関係は,全系統ではそれぞれγ=0,789,γ=-0.093であったが,PT1群では葉面積が,PT2群では単位面積重が収量に大きく影響し,PT3郡およびPT4群は両形質が同程度に影響していた。50%多肥区における収量増加の割合は葉面積の小さいPT2群で最も著しく,節間の長い立葉のPT4群がそれに次いだが,葉面積展開の大きいPT1およびPT3群では比較的少く,少肥向の在来品種の増加割合と同程度であった。薬への乾物分配率は,育成系統の各群間には大差ないが,在来品種に比較して大きいことが認められた。以上の結果,各系統群間には,形態的な同化態勢の差があることが認められ,さらに,単葉の光合成能力や,光合成産物の転流のしかたなどにも差のあることが推定された。
- 日本育種学会の論文
- 1978-03-01
著者
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