トウモロコシ露菌(べと)病抵抗性の検定法の確立,とくに分生胞子の接種濃度と接種葉令との関係
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概要
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Sclerospora philippinensisに因る露菌病に対するトウモロコシの低抗性を高める育種を進めるのに当って,必要な最適な検定法を確立するために,分生胞子の懸濁液の胞子濃度および接種される幼植物の葉令と,発病率との相互関係を明らかにしようとした。用いた材料は,抵抗性品種間のF_1(NE#1×Ph9DM=R)×MIT VAR2と罹病性品種間のF_1 La GranjaPopcorn×UPCA VAR3とであり,1974年11月に実験-1,翌年2月に実験-2が,フィリピン大学農学部で木箱栽培で行われた。実験-1では,5×10^3胞子/mlと30×10^3胞子/mlの接種濃度で0.5〜0.9葉期,1.5葉期,2.5葉期に,捲葉部滴下で接種した。実験-2では,0.2,1.0,1.5葉期に,実験-1の結果に基づいて,葉令が高いほど接種濃度を高めて接種した。なお,接種懸濁液の調製には,YAMADA et al(1976)の方法によって,同調化されている分生胞子が用いられた。接種後28日目までには,全身病徴による発病率がプラトーに達するので,28日目の発病株率によって,材料の低抗性を評価した(Table1)。その結果,実験-1と実験-2とを通じて,いずれの材料においても,接種葉令が若いほど,また接種胞子濃度が高いほど発病率は高く,従来の研究報告と一致していた(Fig.1とFig.2)。つぎに,実験-1と実験-2との結果から等発病率線を画くと(Fig-5),抵抗性の強弱いずれの材料でも,それぞれ一定の発病率を得るためには,接種葉令に応じた接種胞子濃度で接種すれぼよいことがわかった。したがって,抵抗性が異なる材料の差異を明確に識別できる接種条件を決定することができた。すなわち,抵抗性材料の発病株率が50%,罹病性材料のそれが100%となるような接種条件は,0.5葉期で50〜60×103胞子/ml,1.0葉期で80×103胞子/ml,1.5葉期で120〜150x10^3胞子/mlである。
- 日本育種学会の論文
- 1977-06-01
著者
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