バレイショにおける変異と選抜に関する研究 : I. 葉部,花器およびでんぷんに関する遺伝母数について
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概要
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バレイショの実用的形質に関する選抜をより効率的に行うための基礎資料を得るために,葉部に関する7特性,花辮に関する7特性およびでんぷんに関する6特性について,118品種の2ないし3年間の調査から,遺伝変異係数,遺伝カ,遺伝および表現型相関などの推定を行った。さらに,これらの特性と主要な収長形質との関連性について検討を加えた。遺伝変異係数はでんぷん特性が比較的大きく,花冠数一葉柄指数・葉型指数などが,いずれも10%以下で小さかった。遺伝力は集部の特性で44.0〜75.9%,花器の特性で54.5〜85-O%,でんぷんの特性で55.2〜65.2%の範囲を示した。特に,花弁数・葉柄指数・花柱の長さおよび蓼片の長さは,いずれも70%以上を示し選抜効率の高い特性であることが認められた。遺伝および表現型相関については,葉長・葉幅および葉面稜の相互間,花冠長・花冠短および菊の長さの相互間,約の長さと花柱の長さとの間,灰分合最と粒径との問,灰分合最・P含最・K含量およびMg含量の相互間に,それぞれ密接な関連性のあることを認めた。そして,それらの特性はそれぞれ共通の遺伝的要因により支配されているものと推察された。各特性と収長形質との間において,表現型相関では,上いも収量は葉型指数・勢片の長さたどとの聞,でんぷん価は粒径・複葉数・花冠長たどとの間,でんぷん収量は複葉長一Ca含量・花冠数などとの間で,それぞれ密接な関連性が認められたが,遺伝相関では,これらの特性と収量形質との関連性はいずれも低く,互いに異たる遺伝的要因により支配されているものと推察された。
- 日本育種学会の論文
- 1977-03-01
著者
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