Brassica campestris における子房の人工培養: I.種々の培地組成,温度と光の強度における子房の人工培養による発達について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Brassica campestrisの子房の人工培養における種々の培地組成,温度と光の強度における子房の発達についての検討を行なった。用いた実験材料はそれぞれ2倍体Brassica campestris L. ssp. chinensis (L.) Makino栽培品種雪白体菜と同質4倍体Brassica campestris L. ssp. pekinensis (Lour.)Olsson栽培品種野崎白菜とであった。2倍体雪白体菜の株間交配と同質4倍体野崎白菜の株間交配は,各々除雄後2日目に開花した柱頭上に当日開花した花粉をかけて行なった。交配後4日目の子房を植物体から切り取り,無菌操作後の子房を試験管(18×180mm)の寒天培地に植え込んだ。寒天培地のPHは5.6〜5.8であった。試験管に植え込んだ子房は植え込み後,36日目に取り出し,莢の長さを測定し,また莢における着粒率と得られた種子の発芽率を調査した。種々の培地組成における子房の人工培養による発達を調査した実験において,用いた培地組成はNitsch(1951),White(1963),Heller(1953)とMurashige and Skoog(1962)をそれぞれ基本培地として,(1)ビタミン類を全く添加しない基本培地だけの区,(2)修正Whiteのビタミン類を添加した区,(3)Morel(1948)のビタミン類を添加した区,(4)修正WhiteとMorelのビタミン類を添加した区,計16区の実験区であった。なおいずれの実験区においても庶糖(50g/l)と寒天(8g/l)を加えた。子房の人工培養は22±2℃の温度で300〜500ルクス螢光燈連続照射をした培養室で行なった。種々の温度における子房の人工培養による発達を調査する実験においては,用いた温度は12℃,17℃,22℃,27℃と32℃であった。用いた培地はNitschの基本培地に修正Whiteのビタミン類,庶糖(50g/l)と寒・天(8g/l)を加えたものであった。子房の人工培養は300〜500ルクス螢光燈連続照射をした培養室で行なった。種々の光の強度における子房の人工培養による発達を調査した実験においては,用いた光の強さは暗黒下,300〜500ルクスと2000ルクスであった。300〜500ルクスと2000ルクスの光は螢光燈による連続照射であっ,た。この時の培養室の温度は22±2℃に保った。また自然光(約12時間/日,最高300ルクス)で温度変化のある部屋(13℃〜30℃)の条件下における子房の人工培養による発達も調査した。用いた培地はNitschの基本培地に修正Whiteのビタミン類,席糖(50g/l)と寒天(8g/l)を加えたものであった。
- 日本育種学会の論文
- 1976-09-01
著者
関連論文
- 3倍性Brassica雑種の子房の試験管培養 : 1.培養基について
- (36) 二倍性Brassica chinensis と同質四倍性B. pekinensisとの間の交雑不和合に関する発生学的研究 : 日本育種学会第25回講演会講演要旨 : 一般講演
- Brassica campestris における子房の人工培養 : II.種々の炭素源による培養子房の発育
- Brassica campestris における子房の人工培養: I.種々の培地組成,温度と光の強度における子房の人工培養による発達について
- 胚培養による菜類の3倍体雑種の育成