接木実験で見られたダイズ不感光性早生品種間における花成刺激に対する生長点感受性の差異
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概要
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先に報告したダイズ接木実験において,不感光性早生品種の十勝長葉は,他の中,晩生品種にくらべて,一定の花成刺激でより早く開花した(丹羽ら1975)。この生長点の花成刺激に対する高い感受性が,不感光性早生品種に共通するものであるか,また不感光性品種間の開花期の差にこの感受性が関与しているかどうかを明らかにするために,北海道地方で栽培されているダイズ品種(第1表)を用いて,接木実験を行なった。先ず,不感光性6品種を穂木とする接木を行ない,台木の葉をすべて取り去ることにより,穂木の花成刺激による台木の開花を観察した(第2表)。穂木に用いた品種による台木の開花日の差は有意ではなかった(第3表)。次に,先の不感光性6品種と,感光性の中,晩生品種を穂木として接木を行ない,穂木の葉をすべて取り去ることにより,台木の花成刺激による穂木の開花を観察した(第4表)。穂木の開花日の穂木品種による差は有意であった(第5表)。一般に,穂木の開花目は不感光性品種の方が感光性品種より早く,また不感光性品種間での穂木開花日の早晩は,その品種の早晩性とほぼ一致した。この穂木の品種による開花日の差は,台木の開花日が遅いほど大きくなる傾向を示した。以上の結果から次のことが推定された。この実験に用いた不感光性早生品種は,感光性のある中,晩生の品種にくらべて,生長点の花成刺激に対する感受性が高く,さらに早生であるほどこの感受性が高い傾向にある。また,生長点の花成刺激に対する感受性の品種間差は,花成刺激が小さいところセよヴ明らかにたる。したがって,不感光性早生品種間の開花期の差は,花成刺激が比較的小さい植物の発育初期における,生長点の反応の差によるものであると考えられる。不感光性早生品種の花芽の発育状況を観察したところ,花芽の初期発育における品種間差により,開花期が異なってくることが認められた(第1図)。
- 日本育種学会の論文
- 1976-09-01
著者
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