圃場およびガラス室におけるSorghum-sudangrass雑種のソルガムすす紋病抗性反応

概要

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605A(極強),Sweet Sudan(極弱),605AXSweetSudanのF_1(セソダチ)とF_2,および対照としてTiftおよび399A×Regs.Hegari(中国交2号)を供試し,井沢・樽本(1973)のソルガムすす紋病試験法,すなわち自然条件下で接種する圃場試験法および人工条件下で強制接種するガラス室試験法の2方法で接種させた場合のSorghum-Sudangrass雑種(スーダングラス系雑種)の低抗性反応を検討した。 1) ガラス室では全供試材料とも90%以上の罹病葉率を示し,また他の3病害指標では供試材料間に有意差が認められた。圃場では極弱のSweet Sudanで100%の罹病葉率を得,また全病害指標で供試材料問に有意差が認められた。この結果はガラス室および圃場のいずれの条件下でも接種が良好に行なわれたことを示す。 2) ガラス室では人工的に強制接種を行なうことから,病原菌の寄主への侵入に対する低抗性(侵入抵抗性)の指標である罹病葉率では供試材料間に差が認められないが,高度罹病葉率,罹病度等の病原菌の侵入後の拡大(伸展)に対する低抗性(拡大抵抗性)の指標では有意差が認められ,605Aが最も拡大抵抗性であり,次いでF_1,F_2,中国交2号が強く,Sweet SudanとTiftは弱い。 3)一方圃場ではスプレッダーに発病させたすす紋病菌の胞子飛散に発病を待つ方法なので,まず罹病葉率に有意差が認められる。拡大抵抗性の程度は圃場の場合には病源菌侵入の程度にかなり影響を受けるが,有意差は認められ,またTable2に示した順位相関の結果が示す如く,罹病度および被害度では室内検定結果とほぼ一致した。 4)上記のことから,病害指標として罹病度や被害度を用いれば圃場とガラス室の結果は良く一致すると言える。しかし,圃場では特にTiftやF_1でみられるようにその罹病葉率の割に高度罹病葉率が小さく,また実数値でガラス室内の罹病度や被害度と著しく異なるものがある。これは本供試材料の場合,(1)表皮組織(特にクチクラ層)の厚さと強さ,および(2)表皮組織の補修作用の速さを含むplant vigorの良さがその要因とたる圃場低抗性によるものと考えられる。また病害指標としてはTable3に示したように罹病度では,被害度におけるように葉数が少ない程,被害度が大きくなるような阻害的相関関係がなく,また他の病害指標との間に有意改正の相関を有することから,ガラス室・圃場のいずれの試験においても罹病度が最も良い指標になると考えられる。 5)圃場およびガラス室における605AXSweet Sudanの両親,F_1、およびF_2の罹病度分布をFig.2に示した。圃場ではF_1の変異幅は小さく,低抗性親605Aに近い抵抗性を示す。F_2はかなり幅広い分布を示すが,感受性親Sweet Sudanの分布とは重ならず,605Aに偏する分布を示した。また罹病度1.0以下の個体を低抗性とする場合の(低抗性:感受性:3:1)の仮説を良く満した(x^2=1.306,P≒0.25)。この圃場での結果からはSorghum-Sudangrass雑種のすす紋病低抗性は,抵抗性が優性の1主働遺伝子により支配されると考えられる。一方,ガラス室ではF_1はほぼ両親の中間に分布し,F_2はF_1よりもより抵抗性親605Aに近く分布することから,抵抗性が部分優性であると推察される。 6)抵抗性が完全もしくは部分優性であっても,筆者らの結果はSnyder(1949〜50)やDrolsom(1954)がスーダングラスで得た結果,すなわち感受性が優性であるとの結果と著しく異なる。この原因は主に築者らの用いた材料および接種方法が彼等のものと異なることによると考えられる。
日本育種学会の論文
1975-06-30

圃場およびガラス室におけるSorghum-sudangrass雑種のソルガムすす紋病抗性反応

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