ニホンサクラソウの細胞遺伝学的研究 : 園芸品種および近縁野生種の染色体数
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概要
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ニホンサクラソウの育種に役立てるため、ニホンサクラソウの園芸品種ならびに、その近縁野生種の染色体数を調べた。園芸品種のなかには、二倍体以外に三倍体、四倍体のものが含まれていた。四倍体の報告は今回が初めてである。結果は次の通りである。二倍性品種(2n=24)、天ヶ下・朝日・青葉の笛・青海原・東錦・紅女王・美人競・千鳥遊・千代鶴・蝶の眠・大力無双・泥中の玉・富士越・藤娘・月桂冠・還城楽・銀覆輪・五大州・花車・畠の錦・初姿・初桜・緋の袴・緋の衣・日の丸・人丸・漁火・十二単重・十州の空・陽炎・花月楼・神代の冠・狩衣・錦鶏鳥・金秀花・清見潟・駒止・香炉峰・寿・喰裂紙・雲井鶴・京鹿子・松の雪・三保の古事・御国の誉・三田自慢・武蔵野・南京小桜・思いの儘・羅生門・瑠璃殿・桜源氏・漣・西王母・戦勝・志賀の都・紫光梅・獅子奮迅・紫雲竜・手中の玉・墨染衣・田子の浦・大明錦・玉川染・玉孔雀・玉の宮・竜田の夕・東陽殿・宇宙・浮間の光・瑤台の夢・雪の肌・前代未聞。三倍性品種(2n=36)、駅路の鈴・嵐山・隠れ簑・獅子頭・重紫雲・目白台。四倍性品種(2n=48)、大和神風。園芸品種間では、倍数性レベルと仁の最大数とに比例関係が認められ、また全般的に見て三倍性品種は、二倍性品種に比して大きな気孔を有している。二倍性、三倍性および四倍性品種は、それぞれ二本、三本、四本の仁染色体を有しており、同質倍数性が暗示される。倍数性品種の起原には、非還元性配偶子が大きく関与していると思われる。近縁野生種の染色体数は次の通りであつた。Sect. Caortusoides : P. sieboldi E. Morr. 2n=24、P. jesoana Miq. var. jesoana 2n=24、P.kisoana Miq. var. kisoana 2n=24、P.kisoana Miq. var. shikokiana 2n=24 Sect. Reinii : P. tosaensis Yatabe 2n=24、P. reinii Franch. et Savat. var. reinii 2n=24。P. sieboldiとP. jesoana var. jesoanaとの核型は、ほぼ一致しており、類縁性が高いと思われ、両者の間に交雑の可能性が推定される。従つて、P. jesoanaの特徴である、段咲き、円形の葉、濃紅色の花色などの彩質をニホソサクラソウに導入して、全く新しい園芸品種を作出する可能性がある。
- 1973-04-30
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