パンコムギの形質発現に対する雄性不稔細胞質および稔性回復遺伝子の遺伝的影響
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概要
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パキスタンの11パンコムギ品種にAegilops ovataおよびTriticum timopheevi由来の雄性不稔細胞質とAe.caudata起原の稔性回復遺伝子Rfc_1、T.spelta起原の稔性回復遺伝子Rf_3を連続戻交雑で導入し、それぞれの品種の雄性不稔系統と稔性回復因子系統を育成した。これらの系統と正常系統を比較研究し、パンコムギの形質発現に対する上記の雄性不稔細胞質および稔性回復遺伝子の遺伝的影響について次のような結果をえた。(1)Ae. ovata細胞質は出穂を13日遅延させ、草丈を6.3cm、個体あたり分けつ数を3.0、穂あたり小穂数を2.3増加させた。(2)T.timopheevi細胞質は出穂、草丈、分けつには影響しなかったが、小穂数を1.0減少させた。(3)稔性回復遺伝子Rfc_1とRf_3はそれぞれ出穂を1.2日と2.1日遅延させ、草丈を6.2cmと9.3増大させたが、他の2形質には影響をおよぼさなかった。両遺伝子は作用する細胞質は異なるが、他の遺伝的効果は類似しており、両者が同和性遺伝子であることを示唆する。
- 日本育種学会の論文
- 1971-08-31