稲の栄養生長旺盛度と収量および肥料反応との関係

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稲において、栄養生長が旺盛であるということを、遺伝的特性として考えるなら、実験結果よりそれは生育初期に体重の増加が急であり、葉面積が大きく長く薄い葉を持つということに帰せられる。開花期において、長く薄い葉で構成された大きな葉面積を持ち、全乾物体重が大きい事は栄養生長旺盛な品種の一般的特徴であるが、これらは少窒素条件では全生産乾物重を高くする上で有効であるが、一方多窒素条件では開花期およびそれ以後に相互遮蔽がはげしくなり、光合成と呼吸のバランスがくずれる状態を惹き起し、開花以後の乾物生産を高める上でむしろ不利な条件である。よって栄養生長の甚だ旺盛な品種は施用窒素に対して、収量においてマイナスの反応をする事が多い。栄養生長が旺盛でない品種の収量は、少窒素条件では通常低い。これは全乾物生産量が低い事による。しかしながらこれらの品種は多窒素条件においても、開花期前後を通じて甚しい相互遮蔽をこうむることは少なく、収量は少窒素条件に比べてはるかに高いことが多い。結果的に、品種の栄養生長旺盛度と収量における対窒素反応性との間に顕著な負の相関々係が生ずる。栄養生長旺盛で生育期間の長い品種は、窒素反応の最も低いものであるといえる。
日本育種学会の論文
1969-08-31

稲の栄養生長旺盛度と収量および肥料反応との関係

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