サツマイモ近縁野生種から作出した合成6倍体
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概要
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サツマイモ育種では,生殖質の多様化をはかる方法の一環として,近縁野生種の育種的利用を進めてきた.その成果として,線虫低抗性をもつ高でん粉多収性の系統・品種育成をみるにいたった.サツマイモは6倍体(2n=90)で,一方,その近縁野生種には2倍体,4倍体,6倍体がある.これら野生種およびサツマイモの倍数性に関与しているゲノムについてはいまだ十分解明されていない.本報告では,野生種をもちいてできた2種類の合成6倍体,それらの両親,およびサツマイモとの交雑から生じたF_1雑種について,減数分裂第1分裂中期の染色体対合を観察し,それら植物のゲノム構成を明らかにしようとした. 第1の合成6倍体はIpomoea lacunosa(K61,2 n=30)とI.tiliacea(K134,2例=60)との3倍体雑種の染色体倍加によってえられた(Fig.1).この6倍体では,低頻度の1価,3価,4価染色体がみられたが,平均41.3の2価染色体がみられた.そして平均43.2の2価染色体相当数があり,全体として異質または部分異質6倍体の染色体対合とみたすことができた(Table1).3倍体雑種としてはI.trichocarpa(K231,2n=30)とK134との雑種が供試された。I.lacunssaとI.trichocarpaは共通のゲノムAをもつことが明らかにたっている・またJONES(1970)によれば,I.tiliaceaは異質4倍体としての染色体対合を示している.以上のことから,I.tiliaceaのゲノム構成をA1A1TTとして,合成6倍体に暫定的たゲノム式AAA1A1TTを与えた.この合成6倍体は高い稔性をもつが,サツマイモとの交雑からは雑種を得ることはできたかった(K.A.E.S.1963).
- 日本育種学会の論文
- 1987-12-01
著者
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