日本の在来早生イネ品種の基本栄養生長期間の長さの遺伝様式
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概要
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既報(佐藤・林 1985)で述べた感光相(PSP)が短かく基本栄養生長期間(BVP)も短かい早生品種群に属する日本の在来イネ品種について,到穂日数の温度反応(感温性)および基本栄養生長期間(BVP)の品種間差異とその遺伝様式を調べた.供試した早生24品種は,生育期間中の温度が高いほど到穂日数が減少し温度反応を示したが,その品種間差は小さかった.早生品種群内には到穂日数がさらに短かいもの,やや長いものの2群が存在した.BVPの長さを支配するEf-1b遺伝子との相同性検定の結果,多くの早生品種はEf-1b遺伝子とこの作用を強める複数の変更遺伝子をもつと推定されたが,一部の品種はEf-1b以外の早生遺伝子をもつと考えられた.Ef-1b遺伝子は,北海道から鹿児島に至る日本の各地に分布した.これらのことから北部日本の早生品種は必ずしもイネの北進の過程で自然淘汰の結果分化したとは限らず,むしろイネの日本への伝播の初期にすでに分化していた早生品種が選抜されて北上したと考えるほうがよいと結論された.
- 1985-06-01
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