イネ種子貯蔵タンパク質グルテリンの変異

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イネのインド型品種Ai-jiao-nan-te(矮脚南特)および日本型品種陸稲農林糯4号の完熟種子に含まれるタンパク質を、メチレンピスアクリルアミド濃度の低いSDSポリアクリルアミトゲル電気泳動(SDS-PAGE)と二次元電気泳動(一次元目;等電点電気泳動、二次元目;SDS-PAGE)により分析した。陸稲農林濡4号のグルテリソαサブユニットは、SDS-PAGEにより3種類の分子量の異なるバンド、すなわちα-1、α-2およびα-3に分離された。しかし、Ai-jiao-nan-teでは、α-1およびα-2は検出されたが、α-3は認められなかった(Fig.1)。二次元電気泳動により、これらのタンパク質を分別したところ、陸稲農林糯4号ではα-1に2種類、α-2に6種類およびα-3に2種類の異なる等電点を有するポリペプチドスポットが確認された。しかし、Aj-jiao-nan-teでは、α-1およびα-2については同じスポットが検出されたが、α-3の2種類のポリペプチドスポットは見いだされなかった(Fig.2)。電気泳動における易動度から、Ai-jiao-nan-teに欠失しているα-3は、α-1およびα-2とほぼ同一の分子量および等電点を有することが明らかとなった。また、高速液体クロマトグラフィーを用いたトリプシンペプチドマッピングの結果(Fig.3)から、α-3は、α-1、α-2と相同性の高い一次構造をもつタンパク質であると考えられた。ついでイネ78品種について、α-3の存否をSDS-PAGEにより調べた。供試品種系統のうち、15品種がAi-jiao-nan-teと同様に、α-3を欠失していることが明らかとなった。そして、これらの品種は、いずれもインド型に属していることがわかった。また、α-3サブユニットの欠失は、日本型品種においては見られなかった。
日本育種学会の論文
1988-09-01

イネ種子貯蔵タンパク質グルテリンの変異

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