麦類の耐酸性に関する研究 : IV.ヒラキコムギの1混系集団について
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概要
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この報告は,在来種ヒラキコムギの品種生態を解析する目的で,鳥取県農業試験場東伯分場と国立遺伝学研究所で行なった協同試験の結果である。一般農家が自家採種を続けてきた種子を蒐集し,両地で栽培,観察した結果,北谷三江産の集団が最も変異に富んでいることがわかった。その申から後藤が49個体(A群),花房が36個体(B群)を任意にとり出し,実験に供した。実験の結果を要約すると次のとおりであ'る。1)A,B両群ともに系統間に形態的形質について統計的に有意な差異が認められ,系統と年次の相互作用は穂長で,系統と地域の相互作用は稗長で,わづかに有意性が認められた。2)系統の親子間相関では,形態的形質について一般に高い係数がえられた。3)春播性程度の検定結果,両群ともに春播性程度の低い系統によって構成されていた。4)系統の特徴を最もよくあらわす稗長,穂長,芒長によって型指数をつくり,指数によって系統を分類した。型指数に関する変異は非常に顕著であった。5)A,B両群ともに,耐酸性について有意た系統間差異を示し,さらに系統と処理(酸性土壌:普通土壌)の相互作用が有意と認められた。このことに関連して,土壌生態型が生ずる機構について考察を加えた。6)両群とも分離系統を含んでおり,A群6.12%,B群8.33%とその頻度は異常に高かった。形態的多様性にもかかわらず,集団の出穂期は非常によく満っており,異質接合性が自然交雑による可能性を暗示した。
- 1961-09-05
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