トレニア形質転換体における生育ステージにより制御された外来遺伝子の不活化
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概要
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前報(育雑45:71-74)で報告した,トレニア品種`クラウンミックス'にneomycin phosphotransferaseII遺伝子,β-glucuronidase(GUS)遺伝子そしてhygromycin phosphotransferase遺伝子を導入した形質転換体の後代植物において,生育ステージにより制御されたGUS遺伝子の不活化現象が観察されたので報告する。ある形質転換体(R_0-1;前報におけるtransformant-1)の後代植物において,発芽から4〜5週間後のGUS活性を測定したところ,GUS遺伝子座が対になったホモ接合体の方が1つのままであるヘミ接合体よりもかえって低い活性を示すという興味深い結果が得られた(Table 1,Fig.1,2)。ホモ接合体とヘミ接合体におけるGUS活性レベルが,生長する過程でどのように変動するかを確かめるため,発芽後,生育ステージ別に活性レベルを測定した(Table 2)。発芽後5日目と12日目においては,ホモ接合体のほうがヘミ接合体よりも約2倍高い活性を示した。しかし,ホモ接合体では,19日目には12日目に比べて1/10から1/100程度の著しく低いレベルを示し,その後も低い活性のままであった。一方,ヘミ接合体では,54日目まではほとんどの個体が高い活性を示し,その後低い活性レベルになった。ノーザンブロッティングの結果,GUS活性レベルの低下はmRNAレベルの低下と相関があることが示された(Fig.5)。このように,ホモ接合体ではヘミ接合体よりも早い生育段階で急激な活性の低下が観察された.当初,発芽から4〜5週間後の植物を用いてGUS活性の測定を行ったため,ホモ接合体がヘミ接合体よりも低い活性レベルを示す結果が得られたが,それは不活化が生じるステージが両者の間で異なることに起因することが示された。特定の遺伝子のmRNAの量がある限度に達するとその遺伝子は不活化されるというモデルが提唱されているが,この結果を同モデルにより解釈すれば,より活性の高いホモ接合体のほうがより短期間で限界点に達して不活化が生じたものと考えられた。
- 1998-03-01
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