コムギ半数体倍加系統集団における種子貯蔵グルテニンの高分子量サブユニット遺伝子型と農業形質との関係

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コムギの品種間F_1雑種(ChineseSpring x 農林61号)からオオムギ野生種Hodeum bulbsumとの交雑を利用して作出した52系統の半数体倍加系統を用いて,種子貯蔵グルテニンの高分子量サブユニット遺伝子と農業形質との関係を調べた.一方,これらの系統に含まれるジベレリン非感受性の半矢委性遺伝子の農業形質に及ぼす効果についても調べた.種子貯蔵蛋白質をポリアクリルアミトゲル電気泳動法によって分画し,グルテニンの高分子量サブユニットに対応する遺伝子を同定した.ChineseSprinおよび農林61号は,2遺伝子座で異なり,それぞれ遺伝子Glu・Alc・Glu・DlaおよびGlu・A1b・Glu・D1fを有した.供試した系統を4種の遺伝子型に分類し,遺伝子型ごとに農業形質を比較すると,遺伝子型Glu・Alc・Glu・D1fの系統でのみ出穂期が遅く秤長が長かった.しかし,種子の硬軟質性に遺伝子型間で差は認められなかった.他方,ジベレリンに対する反応によって遺伝子型を同定した結果,農林61号はジベリン非感受性の半矮性遺伝子Gai/Rht2を有し,ChineseSpringは有しないことが明らかとなり,半数体倍加系統もこれら2種の遺伝子型に分けることができた.遺伝子型gai/rht2の系統は,遺伝子型gai/rht2の系統よりも秤長が短く子実収量は高かった.したがって,秤長に対する遺伝子型Glu・Alc・Glu・D1fの伸長効果は遺伝子型gai/rht2の短縮効果を相殺する結果となった.以上の結果から,グルテニンの高分子量サブユニット遺伝子に対する選抜は,一部の農業形質の表現に対して著しい影響を与えることが明らかになった.
日本育種学会の論文
1994-03-01

コムギ半数体倍加系統集団における種子貯蔵グルテニンの高分子量サブユニット遺伝子型と農業形質との関係

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