GCMでシミュレートされたインドモンスーンとその変動に対する積雲対流ダウンドラフトの効果
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概要
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ハドレーセンターの気候モデルによってシミュレートされたインドモンスーンとその変動の積雲対流スキームの違いに対する感度を、対流シキームがダウンドラフトを含む場合と含まない場合を比較することによって調べた。1982、1983、1984、1987、1988、1991及び1994年の7年のモンスーン期間のシミュレーションを行なった。これらの年は、インドのモンスーンの降水量の平年偏差が大きい年を選んだ。シミュレーションの結果を、NCEPの再解析データの循環場及びXie-Arkinの降水量のデータと比較した。 モデルの結果を解析した結果、ダウンドラフトを入れることにより、モデルのモンスーンのシミュレーションの系統誤差のいくつかが小さくなることが示された。モンスーンの下層西風が大西洋の奥深くまで侵入するという系統誤差は、ダウンドラフトを入れることにより顕著に小さくなる。北インド洋の対流圏下層のモンスーン流もダウンドラフトを入れると強くなる。TEJ(熱帯東風ジェット)はダウンドラフトを含むモデルの方がNCEPの再解析に近い。ダウンドラフトを入れることにより、インド陸上の降水及びモンスーントラフの位置が改善される。ダウンドラフトを含まない場合は、西赤道インド洋での降水が少ない。ダウンドラフトを入れると、地表面での潜熱フラックスが増加する。ラニーニャ年よりエルニーニョ年に下層の循環を強くシミュレートするという系統誤差は、ダウンドラフトを入れることにより、完全になくなりはしないが、小さくなる。モンスーン降水量の年々変動はダウンドラフトを入れた方が実際に近い。モンスーンの活発期(弱い期間)は、ダウンドラフトを含む方がはっきりとシミュレートされる。より多くの強いシノプティックスケールのじょう乱がダウンドラフトを含む場合にシミュレートされる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-10-25
著者
-
Satyan V.
インド熱帯気象研究所
-
Satyan V
Indian Inst. Tropical Meteorology Pune Ind
-
Mandke Sujata
インド熱帯気象研究所
-
Soman M.
インド熱帯気象研究所
-
Soman M.K.
インド熱帯気象研究所
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