低い山脈の風上側に形成された弱風域と上方に発達した降雪雲 : 津軽地方における1台のドップラーレーダーによる観測
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概要
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日本海上で冬季季節風が吹くと、多くの背の低い対流性雪雲が大気混合層内に生じ、日本列島に多量の降雪をもたらす。津軽地方の複雑な地形の影響を受けた雪雲と気流の振舞いを1台のドップラーレーダーによる観測で調べた。標高が200∼700mの背の低い山脈である津軽山地の風上側∼15kmの領域に山地に平行に伸びる帯状の弱風域がみられ、そこで雪雲の雲頂が上方に盛り上がっていた。一方、津軽山地の上空とその風下では風速が増加すると共に雪雲の雲頂が急激に低下していた。山越えする二層流体の2次元の理論によると、ゾンデ観測から得られた環境パラメータ下では、山脈の風上の部分ブロッキング、山頂から風下での下降流と風下ジャンプを伴う流れが予想された。観測的な限界から十分な確認ができなかった下降流と風下ジャンプを除くと、観測結果はこの理論的予想と矛盾しない。弱風域の入り口での下層収束は雪雲を上方へ発達させていた。しかし上方への発達にともなう降雪強度の増加は確認できなかった。標高が1000mを越える白神山地や岩木山の北方から津軽平野の中部を通って陸奥湾まで、西南西-東北東の方向に伸びる顕著な帯状の強降雪域が観測された。この帯状降雪域を維持するメカニズムとして、白神山地と岩木山、及び津軽山地の鞍部の地形的影響を検討した。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-10-25
著者
-
真木 雅之
防災科学技術研究所
-
八木 鶴平
気水圏
-
中井 専人
防災科学技術研究所
-
児玉 安正
弘前大学理工学部
-
猪上 淳
Jamstec
-
猪上 淳
海洋研究開発機構地球環境変動領域
-
児玉 安正
弘前大院・理工
-
猪上 淳
北大・低温研
-
安藤 真一
弘前大学理学部:(現)日本気象協会北海道本部
-
大槻 政哉
弘前大学理学部:(現)日本気象協会北海道本部
-
稲葉 修
弘前大学理学部
-
猪上 淳
弘前大学理学部
-
越前 直哉
弘前大学理学部
-
八木 鶴平
防災科学技術研究所
-
真木 雅之
防災科学技術研
-
稲葉 修
弘前大学理学部:(現)気象庁仙台管区気象台
-
中井 専人
防災科学技術研 雪氷防災研究セ
-
越前 直哉
弘前大学理学部:(現)北海道地図株式会社
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