風の場の情報を必要としない、VAD法に基づくドップラー速度のナイキスト数の決定
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概要
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方位角方向や動径方向のドップラー速度の連続性に基づく折り返し補正では、連続性の基準となった速度データのナイキスト数が不明であるために、完全にあいまいさを除去することはできない。方位角方向への連続性によって補正された後の速度データ全体は、基準となったドップラー速度のナイキスト数(n)に応じて正しい分布からずれてしまう。この未知のナイキスト数を、VAD解析を用いて決定する方法を開発した。不明であるナイキスト数はフーリエ係数の第0次の成分(a_0)に反映されているので、このナイキスト数は、|a_0+2nV_a| < V_a(ここで、V_aはナイキスト速度)となるように決定される。全方位角(方位角幅=360°)にわたるデータを用いてフーリエ係数が計算されるときには問題は生じない。しかし、ある限られた方位角範囲に存在するデータの場合には、得られる結果は、連続性に基づいて補正された速度データが存在する方位角幅とデータの質とに強く依存する。数値シミュレーションと観測データとを用いて、さまざまな方位角範囲に存在するデータについて、VADに基づくナイキスト数の決定方法の信頼性を調べた。その結果、連続性によって補正されたデータが160°以上の方位角幅にあれば、ここで提案された方法は良好に動作することがわかった。さらに、非線形の成分が小さい場合には、おそらく130°の方位角幅までのデータについて用いることができると考えられる。この方法の大きな利点のひとつは、折り返し補正のアルゴリズムの中で風の場の情報を必要としないことである。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-04-25
著者
-
山田 芳則
気象研究所
-
Chong Michel
Centre National de Recherches Meteorologiques, Meteo-France and CNRS)
-
Chong Michel
Centre National De Recherches Meteorologiques Meteo-france And Cnrs)
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Chong Michel
Centre National De Recherches Meteorologiques(meteo-france And Cnrs)
-
山田 芳則
気象庁気象研究所
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