1891〜1992年データを用いた中国北部・インド夏期降水量及び南方振動指数のウェーブレット解析
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概要
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l891〜1992年の中国北部及びインドの夏の降水量データ、南方振動指数(SOI)データにウェーブレット変換(WT)を適用し、年々変動・十年規模変動の解析を行うとともに、時間スケールごとのパラメータ間の相関を調べた。中国北部及びインドの夏の降水量の年々・十年規模変動の特徴は、期間によって大きく変化していることがわかった。両パラメータとも10年以下、14〜28年の周期変動成分が卓越する。両者の間の相関は時間スケールに依存し、7年以下及び14年以上の周期帯で有意な正相関があるが、7〜14年周期帯では有意な相関はない。SOI変動は5〜7年以下の変動が卓越しており、その他に十年規模変動が1891〜1951年、1970〜1992年に顕著に現れる。インド降水量とSOIとの間には強い相関があり、24〜30年周期以下では正相関、40年周期以上では負相関がある。中国北部の降水量とSOIとはさほど大きな相関はないが、短周期変動に関してはインド降水量の結果と同様な関係がある。中国北部及びインドの夏の降水量変動は、時間スケールによって異なった大気循環場と関係している。両地域の降水量変動に伴う北半球循環場は5年周期の変動では類似しているが、11年周期変動では異なっている。このことは両地域の降水量変動は、ENSOなどの共通した要素の影響を受けているとともに、それぞれ異なった循環場に支配されていることを示している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-12-25
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