領域モデルのための外成風境界値を固定したバランス非地衡風イニシャリゼーション
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概要
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限られた領域の風は, 領域のそれぞれ外部と内部の渦度と発散だけに依存する, 外成風と内成風に分離できる. これは風の分離における基本的な特性である. 領域モデルによる予報とイニシャリゼーションにしばしば現れる共通の特徴を説明するために, 領域の内部で過度と発散が与えられ, 境界で風が設定されている場合が取り上げられる. この場合に算出される外部風が, 境界で一致条件を満たせば一致する場合と呼び, そうでなければ不一致な場合と呼ぶ. 不一致な場合には, 境界で与えられた風と等しく, かつ内部で与えられた過度と発散に一致する, 連続な風の場を見い出すことは不可能である. 一致する場合であれば, 風を再構成するために二つのポアソン方程式を用いる直接法を用いることができる. インプット・ノーマル・モード・イニシャリゼーション(Temperton, 1988)が, 風の再構成と分離の観点からさらに明らかにされる. イニシャリゼーションの目的は, 解析された非地衡風を変形して, バランスした非地衡風にすることである. バランスしない非地衡風だけが速い慣性重力波を引き起こし, イニシャリゼーションで除去される必要がある. 一つの計算例では, バランスした非地衡風は非地衡風全体の約68%であり, したがって非地衡風のよい近似になっている. 非地衡風の回転成分(3.38 m s^<-1>)が発散成分(1.64 m s^<-1>)より大きいことも示される. バランスした風は地衡風とバランスした非地衡風の和であり, 観測される風のよい近似になっている. イニシャリゼーションにおいて境界で風を固定するのは不一致な場合になるため, それはできないことを証明する. 風の分離の基本的な特性に基づけば, イニシャリゼーションの側面境界条件として, 固定された外部風を用いるのがたいへん自然である. 提案されたイニシャリゼーションと境界条件がテストされ, 結果は, 予報の初期値から気象学的なノイズが効果的に除去され得ることを示している.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-06-25
著者
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陳 秋士
Polar Meteorology Group Byrd Polar Research Center
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郭 英華
National Center for Atmospheric Research Boulder
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Bromwich David
Polar Meteorology Group, Byrd Polar Research Center, The Ohio State University
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Bromwich David
Polar Meteorology Group Byrd Polar Research Center The Ohio State University