中緯度スコール系のメソβスケールの運動エネルギー解析
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概要
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中緯度に発現したメソスケール対流系(MCS)のメソβスケールの運動エネルギー(KE)と大規模場の流れへの影響を調べた。このために、1985年6月10-11日にPRE-STORMで観測されたスコール系について、実際のデータをもとに高解像の数値モデルを21時間時間積分した。スコール系のKEは、主にfront-to-rear(FTR)の上昇流域の圧力項によって生成され、また主に水平フラックス発散によって失われた。鉛直フラックス発散は、上層ジェットの下(上)のFTRの上昇流域ではKEを減らした(増やした)。それに対して、rear-to-front(RTF)の下降流域では鉛直フラックス発散はいつもKEを増加させた。RTFの下降流域でのKEの下流への輸送によって、スコールラインに平行にある大きなKEを持つジェットストリームは、スコール系や地表のガストフロントの強さに影響を及ほしたようである。解像されるあらゆるスケールの大気運動への湿潤対流の効果を波数空間で調べた。深い対流を入れることによって、短波長域ではKEスペクトルはあまり変わらなかったが、長波長域ではスペクトルの強さとスロープが大きく変化した。この変化は、KEの逆カスケードによるというよりもMCSの間欠的な発達のためと思われる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-08-25