観測された風速を用いた大気輸送モデルによる対流圏大気の南北両半球の交換について
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概要
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簡単なセミラグランジュ方式を用いた全球大気輸送モデルを作成し、南北両半球の大気の交換に関して解析した。ヨーロッパ中期予報センターで解析された風速を使用し、水平2.5度、鉛直14層の格子点における仮想的な物質の濃度の時間変動を計算した。強い水平傾度を持つ領域が対流圏低層で見いだされ、これは南北大気の境界を示していた。この境界は太平洋では熱帯収束帯に一致していたが、北半球の夏はアジアに於いては北緯30度ヘ、また北半球の冬には南米において南緯30度ヘ移動した。この移動する境界を考慮して南北半球間の移動量を計算した。南から北への移動量の最大は12月、最小は5月であった。北から南ヘの移動量の最大は5月、最小は10月であった。交換時間は約一年であった。この実験の結果は、北半球の夏の間はインドからインドシナ半島の大気の組成が南半球の性質を持ち、北半球の冬の間はアマゾンの大気組成が北半球の性質をもつことを示唆している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-02-25
著者
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