熱帯域で二つの対流性エコーから発達したレインバンドのデュアルドップラーレーダー観測
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概要
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TOGA-COAREIOP期間中の1993年1月5日から6日にかけてパプアニューギニアのマヌス島で観測した、孤立した小規模な対流性のレインバンドの構造と発達過程を、ゾンデデータとデュアルドップラーレーダーデータを用いて詳細に解析した。このレインバンドは、2台のドップラーレーダーによる解析範囲の中で、2つの小さな対流セルから発達して衰弱した。レインバンドは、342Jkg^<-1>と小さいCAPEを持つ環境場の中で発達し、成熟期には長さが30kmで幅が15kmに達した。バンドは2.5×10^<-3>S^<-1>の大きさを持つ下層の平均シアーとほほ平行な走向を持ち、320゜から140゜の方向に毎秒5.5mで移動していた。雨水は高度3km以下に集中し、それより上空では急激に減少した。最大上昇流は毎秒4〜5mで、レーダー反射強度は最大で35〜40dBZであった。レインバンドを構成する対流セルの数は、発生初期では2つ、成長期には5つ、そして成熟期には1つと、時間と共に変化した。前方下層からレインバンドに流入した空気は対流セルの中で上空に持ち上げられ、強いエコー域の真上で上昇流となった後、後方に抜けて行った。強い降雨域の真下には強い下降流が存在せず、また、対流域の風下に於ける層状域の面積は小さかった。発達初期には、対流セルの中心に向かう後方から前方への対流スケールの流れが見られた。これらの後方から前方に向かう流れは、相互に併合して面積と厚みを増し密度流を形成した。この密度流はレインバンドよりも速い速度で移動することにより下層に強い収束を生じさせ、成熟期には密度流の"ヘッド"部で強い対流セルを発達させていたことが、2台のドップラーレーダーを用いた詳細な解析から明らかになった。対流スケールで形成された後方から前方に向かう流れの併合過程が、このレインバンドの組織化にとって重要であることが示唆された。
- 1995-06-15
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