同一区におけるイネの主稈の生育型と各器官長の変異について : 農学試験に関する一考察
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概要
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農学の試験では, 多くの品種や系統あるいは幾つかの処理を比較して, 再現性のある差を明確にしようとする場合が多い.その際に直接比較されるのは, 一般に収量とか稈長といった形態に結びついた諸形質である.このような比較試験では, 品種内あるいは同一区内における量的諸形質の変異は各々1つの正規分布を示すものと前提して, 諸統計量を算出し, 品種間や区間の比較解析を進めるのが常道となっている.しかしイネに限って見ると, この前提を実験的に立証した例はあまりないようである(言うまでもなく, 特異な測定値を除外するといった操作は, 通常の測定値の母分布が正規型であることを前提としている).同一区におけるイネの主稈の節間長や稈長, 穂長といった形質には, 通常上述した前提が成立せず, 各々に2つ以上の正規型の母分布を想定する必要のあることが明らかになった.その場合の試験材料は, 精密試験に準じた試験区の少数個体であった.本報では, 普通の試験区における大量の材料を用いて, 主稈の各器官長の母分布の正規性を多面的に検定して, 同一区における各器官の変異の様相を明らかにするとともに, 農学試験の精度を向上させる一助としたい.
- 日本作物学会の論文
- 1984-05-30
著者
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