各種大気汚染物質が水稲およびトウモロコシの光合成速度におよぼす影響

概要

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近年, 大気汚染物質による公害の特徴は, 地域開発政策の実施に伴なって, 汚染物質が単独である場合はきわめて少なく, 2種または, それ以上の複合によって問題を複雑化し, 深刻である。大気汚染による植物被害あるいは農業被害も年々広域化し, 原因物質が何であるか不明の場合が多くなってきた。大気汚染物質の主たるものは, 過酸化物(オゾンO_3), 硫黄酸化物(亜硫酸ガスSO_2), 窒素酸化物(二酸化窒素NO_2, 一酸化窒素NO)の3者である。限定された地域によってはハロゲン化合物の毒性の高いふつ化物および塩素が存在し, 場所によっては硫化水素およびエチレン等も混在するようになった。古くから硫黄酸化物については植物との関連で多くの研究がみられ, ついで過酸化物である。我が国においては, ようやく, 植物の被害実験が過酸化物および窒素酸化物について開始された段階である。我が国の公害対策は常に被害が優先し, これに関する研究は後手にまわっている。本実験は, 農業生産の基本である光合成作用にこれら大気汚染物質がどのような影響を与えるものかについて明らかにしたものである。
日本作物学会の論文
1974-03-31