稲麦種子の低温貯蔵に関する試験 : 第3報 稲貯蔵種子の水苗代および箱育苗における出芽について
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概要
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1.稲貯蔵種子の水苗代および箱育苗における出芽比(出芽率÷発芽率×100)は,遅発芽係数(平均発芽日数÷発芽率×100)との間に負の相関がみられた。すなわち,発芽力の低下した種子では,発芽能力があっても出芽しないものがある。この傾向は,箱育苗の出芽時加温,出芽時無加温,水苗代の順に著しくなった。2.発芽力が低下した区の発芽種子を20℃および25℃定温下で育苗した結果,出芽率の低下,出芽速度の遅延ならびに分散の拡大がみられ,その傾向は20℃定温下で助長された。このことが,実用面での出芽比の低下をもたらす1つの要因と思われる。3.以上の結果から,稲貯蔵種子の実用性の検定に当たっては,発芽率だけでなく,発芽速度をも加味して行なう必要があると思われる。さらに,それの使用に当たっては,種子の予措および育苗法を考慮することによって,実用性が増すことがわかった。
- 日本作物学会の論文
- 1980-12-25