逐次上澄液法による輸換田土壌ケイ酸の有効化過程の解明

概要

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土壌ケイ酸をできるだけ圃場の状態に類似した環境条件下で測定できるように上澄液法を改良し,この方法を逐次上澄液法と名づけた.そして,輪換田土壌のケイ酸の有効化過程を解明するため,逐次上澄液法の適用可能性について検討した.1) 上澄液法では土壌ケイ酸の溶出量が逐次上澄液法に比べ低く推移した.これは,上澄液法ではケイ酸の上澄液中への溶出が抑制されたためと考えられる.土壌ケイ酸の有効化過程を把握するには,逐次上澄液法ではこのような影響が回避されるので有効な方法であると考えられた.2) 逐次上澄液法による土壌ケイ酸の溶出量は,輪換田のほうが連作田に比べて高く推移した.また,その溶出曲線は指数式で近似することができ,得られた定数の値から溶出過程の特徴が理解された.3) 室内実験における土壌のケイ酸溶出量に対する温度の影響から,圃場との温度差の範囲では,成熟期までのケイ酸溶出量に及ぼす影響は小さいと推察された.圃場におけるケイ酸の溶出過程は,30℃の温度条件下で,逐次上澄液法により求めた指数式の溶出曲線から推定できると判断した.4) 水稲吸収ケイ酸量の推定値は,水由来と土壌由来のケイ酸量を合わせたものとすると,推定値と実験値とは最高分げつ期を除き,穂揃期と成熟期においてほぼ一致した.また,水稲吸収ケイ酸量は,輪換田のほうが連作田に比べて高く推移した.以上の結果,輪換田土壌のケイ酸の有効化予測には,穂揃期以降において逐次上澄液法が適用できると判断した.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1992-02-05

逐次上澄液法による輸換田土壌ケイ酸の有効化過程の解明

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