蛍光X線分析法による土壌中遊離酸化物の定量
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概要
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MEHRA-JACKSON 法および T_<AMM> 法による抽出液中の鉄、ケイ素およびアルミニウムについて、抽出液をろ紙上に滴下・乾燥して蛍光X線分析により定量する方法を検討した。その結果は以下のとおりである。 1. 用いるろ紙としては低灰分のNo.7(東洋ろ紙)が最適である。ただし、その際においてもケイ素のバックグラウンドの事前のチェックは必要であった。 2. 内部標準として、鉄(Ka)に対してはニッケル(K_α)を、ケイ素(K_α)とアルミニウム(K_α)に対してはルビジウム(L_α)を用いることにより測定誤差を低下させることができた。 3. 滴下量は一度にろ紙に乗る最大液量である80μlとした。 4. 共存物質の影響は抽出液10mlにつきクエン酸ナトリウムを2g添加することによって除くことができた。 5. 土壌試料について本法を応用した結果と、田の定量方法、すなわち、α、α'-ジピリジル吸光光度法による鉄、モリブデンブルー吸光光度法によるケイ素、黒鉛炉原子吸光法によるアルミニウムの結果とはよく一致した。6. 本法による各元素の定量下限抽出液中でおおむね10 ppm、土壌試料中の酸化物としては十分の感度をもっているが、ケイ素の抽出量は一般に少ないため、黒ボク土以外では感度がやや不十分である。しかしながら、ケイ素の少ない試料でも有効数字1桁でモリブデンブルー法の結果と一致しており、半定量的な取り扱いはできる。 7. 本法は他の方法と比べて検量線の直線範囲がなく、希釈して再測定が必要な試料はなかった。 8. 土壌試料から得られた20点の抽出液に対する本法による分析時間は約8時間であり、他の方法に比較してきわめて短時間であった。
- 1989-04-05
著者
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