畑土壌への家畜尿施用にともなう窒素揮散
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概要
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圃場に家畜尿を施用する場合、多量の水分が土壌に加えられることになり、脱窒が起こる可能性が大きい。またアンモニアとしての揮散も考えられる。そこで室内培養実験により尿施用処理(無施用、地表散布、土壌注入)と温度(10、20、30℃)を変えて窒素揮散量を検討した。1)土壌中の無機態窒素の推移は次のようであった。土壌中のアンモニア態窒素および硝酸態窒素は、尿施用直後に増加したが、培養温度20℃以上ではその後硝酸態窒素が急速に減少してゼロとなり、続いてアンモニア態窒素が減少し始めた。8日目頃から再び硝酸態窒素の集積が進行した。2)アンモニア揮散は尿を土壌表面に散布した場合にのみ認められ、土壌注入の場合は検出されなかった。温度の影響も大きく、高温ほど施用直後の揮散が著しかった。3)亜酸化窒素の発生は、10、20℃の条件では少量であったが、30℃では比較的多量の発生が認められた。しかし、窒素添加量に比較すれば絶対量はわずかであった。4)無機態窒素の推移を検討した結果、尿の施用によって無機態窒素総量の約50%が脱窒によって失われたと推定され、大部分がN_2に還元されて揮散したと考えられた。5)以上の結果、尿施用に際しての窒素揮散対策としては圃場に硝酸態窒素を残存させない施肥設計、および施用後の土壌の通気を良好にして還元部位の減少を図ることが有効と考えられた。
- 1988-12-05
論文 | ランダム
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