都城市月の原台地における層位別液相率の季節変化
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概要
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都城市月の原台地において,中性子水分計を用いて深度約9mまでの層位別液相率の変化の実態を調査し,層位別三相分布の特徴,液相率の季節変化および梅雨時の浸透水波及速度を明らかにした。1)現地土層は三相分布により,火山性土層群(0〜425cm)とこれを支える砂礫層群(475〜915cm)に大別され,孔隙率が前者で86〜70%,後者で56〜50%と大きく異なり,加えて液相率は前者で高く,好対照をなした。2)火山性土層群はさらにクロボク層(壌質),ボラ層(軽石),ローム層(埴質)に区分され,その液相率は順に中・低・高と明瞭な段落をなし,液相率の季節変化の範囲はそれぞれ19%,6〜8%,9〜14%であった。一方,砂礫層群は深度650cmを境に二分され,上部の液相率は深度とともに低下し,下部では逆に上昇傾向に転じた。また,液相率の季節変化の範囲は上部で全土層中最小の3〜5.5%を示し,下部では7〜9.5%と大きく,かつ深度とともに増加した。これらの結果から,ボラ層と砂礫層上部がともに全期間を通じて大きな気相率を有し,それぞれ上下の土層間との水理的なつながりの中で特異な排水領域を形成しているものと考えられた。3)液相率の季節的な変化は砂礫層群下部(915cm)において明瞭かつ単純化されて認められ,5〜6月に上昇,9〜10月まで高く推移し,11月頃から低下,3〜4月まで低く推移した。4)梅雨における,土層ごとの液相率の膨張は多量降雨後4日で砂礫層群上部(645cm)に10日で同下部(915cm)に波及し,見かけの浸透水波及速度は深度0〜645cm間で1.6m/日,645〜915cm間で0.5m/日と算出された。
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1986-10-05
著者
-
大嶋 秀雄
九州農業試験場畑作部
-
大場 和彦
九州農業試験場畑作部
-
小濱 節雄
野菜試験場
-
小林 一雄
九州農業試験場環境第一部
-
大場 和彦
九州農試
-
大嶋 秀雄
農環研
-
大嶋 秀雄
九州農業試験場
-
大場 和彦
九州沖縄農研
-
大場 和彦
九州農業試験場生産環境部
-
小濱 節雄
九州農試
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