非火山灰土壌の非晶質粘土成分

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非火山灰起源土壌の非晶質粘土成分の性格を知る目的で、各種岩石由来の褐色森林土8断面と赤黄色土3断面および褐色低地土2断面のA,B層位試料23個から分離した粘土(<2μm)について脱鉄(DCB)および酸性シュウ酸塩(oxalate)処理を行い、溶解成分について化学組成および示差IRスペクトル法による鉱物学的性格の検討を行った。結果は以下のように要約される。1)DCB,oxalateいずれの処理でもケイ素、アルミニウムおよび鉄の溶出量は試料ごとに異なっていたが、それらの酸化物合量は大略土壌の粘土含量と正の相関関係を示した。2)3元素のなかでは、数個の試料のoxalate溶解成分を除き、鉄の溶出量が最も多く、とくにDCB溶解成分ではそれらの主体をなしていた。oxalate可溶鉄とDCB可溶鉄の比(Fe_<ox>/Fe<DCB>)は、対照に用いた黒ボク土やポドソルB_2層位の試料に比べると全般に小さく(<0.65)、遊離鉄中にかなりの結晶質のものが含まれることが示唆された。なお、遊離鉄含量を母岩別にみると、褐色低地土以外の試料では、ほぼ塩基性岩類>_=変位岩類>中性岩類>酸性岩類>堆積岩類の順であった。3)DCB溶解成分のケイバン比は0.6〜5.7の範囲に広がっているのに対し、oxalate溶解成分のIRスペクトルは、両処理とも遊離鉄による吸収のほかに、結晶粘土(層状ケイ酸塩鉱物)と同じ波数域に強弱の吸収帯を示した。しかし、oxalate溶解成分の低いケイバン比からは、この処理で溶解する鉄以外の成分の主体は少なくとも結晶粘土ではなく、DCB処理もそれと同様のものを一部溶解していると考えられた。4)用いた褐色森林土、赤黄色土および褐色低地土の試料中にはアロフェインやイモゴライトなどの非晶質、準晶質アルミノケイ酸塩鉱物は積極的には見出されなかった。5)以上の結果から、用いた試料のoxalateおよびDCB可溶のケイ素とアルミニウムは、主として結晶粘土粒子が風化変質して半ばあるいはかなり非晶質化した部分に由来したものであり、試料中の"非晶質"成分の主体はこのような変質部と非晶質和水酸化鉄であると考えた。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1991-06-05

非火山灰土壌の非晶質粘土成分

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