窒素過剰施用条件下におけるクロタラリアの生育と窒素吸収
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概要
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マメ科緑肥作物として利用されているクロタラリア(Crotalaria juncea L., 品種:ネマコロリ)を窒素集積土壌におけるクリーニング作物として導入するための基礎的知見を得るために,窒素施用量の異なる火山灰土壌を充填した大型コンテナポットで栽培し,重窒素標識肥料を用いて窒素吸収量を供給される窒素の由来別に調査し,トウモロコシ(Zea mays L., 品種:ゴールドデントDK789)と比較した.播種後60日目の地上部乾物重は,両作物ともに過剰施用区(70gN/m^2)が少量施用区(3gN/m^2)よりも多く,両区間の差はトウモロコシで著しく大きかった.過剰施用区ではトウモロコシはクロタラリアの約3.5倍の乾物生産を示した.地上部全窒素含有量は乾物重と同様に,両作物ともに播種後60日目では過剰施用区が多く,少量施用区との差はトウモロコシのほうが大きかった.過剰施用区ではトウモロコシの全窒素含有量はクロタラリアの約1.8倍であった.クロタラリアの地上部全窒素含有量に占める固定窒素の割合は,少量施用区では約75%であったが過剰施用区では1%未満であり,根粒の着生はほとんど認められなかった.過剰施用区におけるクロタラリアの吸収窒素量は1m^2あたり換算で約35gとなり,窒素集積土壌においては固定窒素に依存せずに多量の窒素を吸収することが示された.すき込み資材の分解速度の指標の一つであるC-N率は,クロタラリアで約15と低く,刈取り後に有機物資材として利用する際に容易に分解されることが示唆された.
- 日本作物学会の論文
- 1999-06-05
著者
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