休眠覚醒を考慮した桑萌芽過程の反応速度論的モデル
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概要
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ポット植え桑樹に様々な温度処理を行って萌芽への影響を調査するとともに,全国21力所の桑萌芽日を目的変数,各旬の気温を説明変数とする重回帰分析を行い,偏回帰係数の季節変化を検討した. 11〜1月の高温処理は萌芽をわずかに抑制したが,2月の処理は萌芽をわずかに早め,3月の処理は萌芽を著しく早めた. また重回帰分析でも11〜12月には偏回帰係数が正の値を示したが,1月以降は負に転じ,3月まで経時的に減少した. 11〜1月の感温特性が2月以降と異なるのは休眠覚醒が不充分なためと考えられ,萌芽過程のモデル化に際して休眠覚醒を考慮する必要性が認められた. 次に,上記の知見を踏まえて5〜7個のパラメータを持つ萌芽過程のモデルを作成し,パラメータに様々な具体的数値を与えつつ全国の桑萌芽日を計算して,計算値と実測値が良く一致するモデルとパラメータの値を選定した. 最も良いモデルは,萌芽過程が気温に依存する3つの反応(休眠覚醒反応,萌芽反応I及びII)によって日々進展し,「萌芽反応II」の生成物量が一定量蓄積した日を萌芽日とするもので,最適なパラメータの下では,計算値の95%以上が誤差5日以内,87〜92%が誤差3日以内で実測値と一致した.なお3つの反応の速度定数と気温の関係式として,アレニウス式類似の,高温限界を持つ式を採用した. また,「休眠覚醒反応」は-5℃〜0℃で最も効率的であること,「萌芽反応」は通常の温度域では気温と共に指数関数的に高まること等が示唆された.
- 日本作物学会の論文
- 1991-03-05
著者
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