テンサイの葉における糖の分配 : 採取時刻と組織部位による糖含量の差異
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概要
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テンサイ(Beta vulgaris L. var, saccharifera Alef.)は, その菜根部に特異的にシュクロースを蓄積するが, その葉柄部は光合成産物の通導組織であると共に, グルコースの一時貯蔵庫である. この葉柄を用いて, その縦方向および横方向における糖の分配を, 一日の光合成の終わる晴天日の夕方(E)と, 翌朝(M)の2回採取して検索した. 糖の定量は, 80%エタノールで常法に従い抽出後, べーリンガー・マンハイム・山之内からのF-キットを用いて, 酵素法(ヘキソキナーゼ・G6P脱水素酵素法)に依って行った. 葉柄を持った若い葉では, グルコースとシュクロースの含有量は上部より下部に高く, フルクトースはこれと反対に上部で高く下部で低かった. これらの3種類の糖は, 若い葉柄の基部では夜間に乾物当り2〜4%増加した. つぎに, 成熟葉の葉柄基部を背軸側(主として並立維管束, 皮層柔組織等を含む, 緑色部と呼称する)と向軸側(主として髄部柔組織からなる, 白色部と呼称する)に分けて, 通導系に対して横方向の糖の分布を調べた. その結果, グルコースは白色部で夜間にE13%からM20%に増加したが, 緑色部では5〜6%のレベルを保って夕・朝で変化は見られなかった. 一方, シュクロース含量は緑色部に高く, その値は夜間にE5%からM12%へと増加した. これらの結果は, 光合成産物が転流していく過程において, 葉柄では, 通導組織と髄柔細胞の間で横方向(放射方向)の変換と転流が日夜活発に行われていることを示唆するものである.
- 日本作物学会の論文
- 1989-03-05
著者
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