イネの粒長・粒幅に関する生長解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
米粒の大きさや形がどのように決定されるかを明らかにするために, 粒大および粒形の異なる栽培稲6品種と野生稲1系統を用い, 粒の生長解析を行った. 粒は初期から急速に生長し, やがて急激に生長を停止した. 粒長および粒の生育にともなう相対増加速度の変化は, ロジスティック生長とは異なったものであった. また粒長と粒幅の相対生長もロジスティック生長の場合にみられるような直線関係を示さなかった. このように粒は, 穎や胚と異なった非ロジスティックな生長をすることが明らかになった. 最終粒長は, その60から70%の長さに達した時期に見られる最大増加速度と密接に関係していた. 一方粒幅は, 最大増加速度との間に相関関係は認められず, 増加期間との間に高い相関を示した. このように粒大を規定するパラメータはその生長方向により異なっていた. また栽培稲では, 最終的な粒幅/粒長値が生長途中における粒幅/粒長値の最小値との間に高い相関を示した. 野生稲では生育後期における粒の肥大が見られなかった. 以上の結果から, 粒の生長は, 穎や胚の生長とは異なって, ロジスティック型の生長を示さないこと, また最終粒長や粒幅(粒大)あるいは粒幅/粒長値(粒形)はその生長途中において予測可能であることが明らかになった.
- 日本作物学会の論文
- 1988-06-05
著者
関連論文
- イネ穂孕み期低温感受性突然変異体の作出と解析
- コムギ品種の幼植物の根の伸長角度と圃場における根の垂直分布との関係
- イネの穎の生長パターンの解析
- Glycine 属における DNA 量の変異
- 雑穀類における根系の空間分布の種間差
- 118 数種の雑穀類における節根の伸長方向
- トウモロコシとアワにおける節根の伸長角度と根系分布
- 60 Profile wall method による雑穀類の根系分布の定量的観察
- 水稲2, 3次分げつの止葉葉位の識別と1, 2次分げつの出穂特性
- 122 トウモロコシとアワの1次根の伸長角と根長密度分布
- アワ, キビ, トウジンビエおよびトウモロコシの根系の比較研究
- イネ穎花の開花時期と粒重の関係
- 44 画像処理を用いた根の形態情報計測システムの開発
- トウモロコシにおける根の分枝 : 第1報 「分枝指数」および根長測定方法
- 農家水田に生育した水稲の1次根数と収量構成要素との関係 : 第2報 茎および"要素"に着目した場合
- 農家水田に生育した水稲の1次根数と収量構成要素との関係 : 第1報 株および個体に着目した場合
- コムギ(Triticum monococcum)における胚生長率の周期的変化
- イネ胚生長の安定性について
- 二,三のイネ科作物における胚生長の解析
- イネ胚生長の時系列解析 : 生長率の周期的変化
- 10-10 ヨウ素過剰耐性イネ変異体の選抜(10.植物の微量栄養素)
- イネの粒長・粒幅に関する生長解析
- タイトル無し
- 123 根長の測定方法の比較