イネ科牧草とマメ科牧草の競合に関する研究 : 第3報 オーチャードグラスとラジノクローバーの混播草地における両草種の生育に及ぼす刈取回数の影響
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概要
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オーチャードグラスとラジノクローバーの混播草地における両草種の生育に及ぼす刈取回数の影響を検討した. そのために, 両草種の混播草地と単播草地を造成し, それぞれの草地に次の3処理区を設けた. A. 年間6回刈区(4月下旬, 5月下旬, 6月下旬, 7月下旬〜8月上旬, 8月下旬〜9月上旬, 10月), B. 年間4回刈区(6回刈区のうち夏期の6月下旬と7月下旬〜8月上旬の2回の刈取りを省いた), C. 年間3回刈区(5月上旬, 7月下旬, 9月下旬). 混播草地では, 刈取回数が少ない場合にはクローバーが消滅し, 逆に刈取回数が多い場合にはオーチャードグラスが消滅していく傾向があつた. すなわち, 両草種の収量の年次変動は個体密度の年次変動と一致した. クローバーのほふく茎数密度は, 3回刈区では1年目の5月上旬までに, 4回刈区では2年目の6月中旬までにすべて枯死した. 一方6回刈区のほふく茎数密度は1年目の6月以後増加を始め2年目の6月には最高に達し, それ以後目立つた変化はなかつた. オーチャードグラスの株数密度は3・4回刈区では1年目に一時的に低下するものの, その後はほとんど変化しなかつた. 一方6回刈区では毎年夏期(6〜7月)に急減し, 年ごとに株数密度は低下した. 単播草地では, 混播草地でみられた刈取回数の多い場合のオーチャードグラスの消滅の傾向および刈取回数の少ない場合のクローバーの消滅はみられなかつた. すなわち, クローバーのほふく茎数密度はいずれの処理区でも増加したが, その増加速度は6回刈区よりも3・4回刈区において速かつた. また, オーチャードグラスの株数密度は, 3・4回刈区では混播草地でみられたと同様に1年目には一時的に低下するものの, その後はほとんど変化しなかつた. 6回刈区では毎年夏期にわずかづつ株数密度は低下したが, 3・4回刈区に比べ株数密度は高く維持された. 混播草地と単播草地のデータは, 混播草地におけるクローバーまたはオーチャードグラスの消滅が刈取りによる直接の影響というよりは刈取りによつて導かれる両草種の競合によることを示している. 本試験にあたり, 終始親切な指導をいただいた九州大学教授・武田友四郎博士に深く謝意を表する. また, 研究遂行にあたり, かずかずの便宜と助言をいただいた大分県畜産試験場の梅津頼三郎博士に謝意を表する.
- 日本作物学会の論文
- 1974-12-30
著者
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