プラストクロンインデックスによる大豆の葉令の表示について
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概要
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1. 大豆品種シロタエ6個体をガラス室内で生育させ, 第1葉から第13葉まで全葉の生長を追跡的に測定した. 2. 中央小葉葉身長, 複葉全長(葉柄を含む)の対数をとる時, 対数値で最終葉長のほぼ92%までは日数に対して直線的に生長した. 3. 小葉葉身長, 複葉全長とも発芽後日数に対する葉長の対数の回帰係数が第1葉から第7葉までは漸増し, 第8葉以降次第に低下し, かつ葉位間に有意な差があつた. 第3葉〜第7葉では生長速度(回帰係数)と気温との間に強い正の相関がみられたが, 第8葉以降では有意な相関がみられなかつた. 4. 基準長を小葉では30 mm, 複葉では45 mm と仮に設定して, a) P.I.=n+1以前での第n葉の回帰直線の屈折, b)相続く2葉間の回帰係数の差および c)両者相伴つて起る場合のP.I.の誤差を計算した. 葉間期内での誤差は極大値でも a)では小葉0.07, 複葉0.03, b), c)ともに小葉0.09, 複葉0.14程度であり, しかもこの程度の誤差の起る可能性は甚だ低いと考えられる. 全体として本実験でみられた程度の葉(全長, 生長速度, 葉間期など)ではこれらの原因による誤差は余り大きくないと考えられる. 5. この基準長で計算した. P.I.の推移は, 小葉, 複葉ともかなり直線に近く, かつ各測定日の計算されたP.I.の誤差を計算し, 補正したが, 補正値は甚だ小さかつた. 6. 葉長の測定対象としては, 小葉の方が複葉よりもP.I.の誤差が小さく, かつ測定もし易いことから, 中央小葉の葉身長を測定するのがよい. 7. 中央小葉葉身長から計算したP.I.によつて葉令を示すためには, 基準長を一定に定めなければならない. このため, 基準長 10 mmの場合と20 mmの場合について考えられる各種の誤差を比較検討した結果, 総合して10 mmがよいと考えられる. しかし, 10 mmの場合には, 基準長より短くこれに最も近い葉は常に10 mm以下で時に2 mm位のこともあること, 測定誤差による誤差が大きいから測定誤差を0.5mm程度以下に抑えるよう精密な測定が要求されることに注意しなければならない. 8. 葉長の測定誤差による誤差は, 第n葉, 第(n+1)葉ともに, 基準長に近い大きさのときに最も大きいので, その頃は特に精密な測定が必要である. 本実験の遂行にあたり農林省農事試験場から大豆品種の種子を分譲して頂いた. また本稿を草するに当つて長野県農業試験場桔梗ケ原分場御子柴公人氏より本文に示した大豆7品種の全葉の小葉葉身長についての貴重な未発表の調査資料をご提供頂いた. 本稿を草するに当り西川五郎教授のご校閲を賜つた. 記して厚く謝意を表する.
- 日本作物学会の論文
- 1974-03-30
著者
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