水稲品種の光エネルギー利用効率とこれに関与する要因
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概要
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圃場に生育中の作物は太陽エネルギーの一部を反射, 一部を透過, 残部を吸収し, さらに吸収エネルギーの一部を光合成により乾物として固定する。全日射量, 反射量および透過量の全生育期間の連続測定, ならびに生育各期の葉面積(LAI)および乾物重の測定から, 反射率(A), 透過率(k), 吸収率(Ea), 吸収エネルギーに対する乾物生産効率: 利用率(Eu), 投下エネルギーに対する乾物生産効率: 変換率(Ec) (=Ea×Eu)を算出することができる。水稲中生8品種(1967年)および3品種(1968年)についてこれらの量の経過をしらべるとともに, Ecを決定するEaおよびEuと品種の特性との関係を検討して次の結果をえた。1) LAIとAとの関係の品種間差は, 経験式: A=Ap-(Ap-Aw) exp(-K・LAI)により説明できた.(Fig.1)。2) 生育初期〜中期にAは急増, kは急減するが, ともに中期以降の増減は少ない。Eaは生育初期に急増以後漸増し, Euは生育とともに低下し, Ecは中期に最高値を示した(Fig.2)。3) 全生育期間の平均値は, A: 17-20%, k: 30-47%, Ea: 37-50%, Eu: 2.81-3.53%, Ec: 1.12-1.71%で, 各効率に有意な品種間差があつた(Table 1)。4) Eaは{LAI×K (吸光係数)}と密接な正の, Euは{K×sla(葉身面積重量比)}と密接な負の相関関係を示した(Table 2)。5) 多収品種は高いLAI, 低いK (直立的な葉), 大きいsla (薄目の葉)という特性を有し, この特性の組合せが光エネルギー利用上有利なことが示された(Table 3)。
- 日本作物学会の論文
- 1969-09-30
著者
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