実験的歯の移動時におけるオステオカルシンの局在に関する免疫組織化学的研究
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概要
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矯正の臨床においてわれわれは, 歯の移動を安全性かつ効率よく行う必要がある. それには, 矯正力を加えることによって起こる骨組織の改造現象を知ることが重要となる. 骨の改造現象には, 生理活性物質・サイトカイン・細胞外基質蛋白質などの多くの化学物質が関係していると考えられてきた. そのなかでも骨に含まれる非コラーゲン性蛋白質で, 骨芽細胞により合成されることから骨芽細胞の特異的なマーカとなるオステオカルシンが注目されている. オステオカルシンは, 1975年に Hauschka らがニワトリの骨から, 1978年に Price らがウシの骨から分離・精製して以来, これまでに局在・役割に関係する多くの研究がなされてきた. オステオカルシンの生理的意義についても数多くの分野で研究されている. 歯の移動もまた, 骨吸収・骨形成という歯槽骨の改造現象により生じている. その改造現象におけるオステオカルシンの役割についての報告はあるが, 歯の移動におけるオステオカルシン局在の経時的変化については, ほとんど知られていない. そこで本研究では, 歯を移動した際の歯槽骨におけるオステオカルシン局在の経時的変化を免疫組織化学的に検索し, オステオカルシンと歯周組織の改造現象との関連性について検討した. 実験動物には, Wistar 系雄性ラット ( 8週齢) を用い, 歯の移動は Waldo らの方法に準じた. すなわち, 上顎左側第一臼歯 (M_1) と第二臼歯 (M_2) との間にゴムを挿入して実験側とし, 右側を未処置のまま対照側とした. 観察部位は, M_1 近心根とした. ゴム挿入後, 6, 12, 24, 36時間, 7, 14日目にラットを屠殺し, 通法に従って脱灰パラフィン切片を作製して光顕的観察を行った. その結果, 圧迫側では以下の知見を得た. 1) オステオカルシン陽性細胞が, 破骨細胞の出現より以前に歯槽骨の辺縁部に認められた. 2) またその辺縁部には, 最初にオステオカルシンの局在が観察されてから歯の移動終了時までの間, その局在が認められた. 3) 対照群では, 歯槽骨の辺縁部にオステオカルシンの局在が認められなかった. 以上のことより骨芽細胞が合成するオステオカルシンが歯を移動させた際の歯周組織の改造現象に関係している可能性が考えられる.
- 1994-04-25
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